現役配達員が語る!宅配業者が不在票を入れない理由!!

こんちわ、クロです🐈

宅配業者は日々荷物を配っているわけですが、配送現場では「一枚の紙切れ」を巡るトラブルが絶えません。


そう、「不在票」です!!


不在票のトラブルといえば未投函、「不在票が入ってなかった」ってクレームが頻繁に入りますね。

お客さんの立場からしたら「再配達を頼みたいから置いて帰ってほしいもの」ですが、ドライバーの立場からすると「極力入れたくないもん」なんです。

クロ

ドライバーが不在票を入れたくない理由を解説しよう

目次

宅配業者は意図的に不在票投函を避けている

ドライバーが不在票を入れたくない理由

❶ 電話対応に時間をとられる
❷ 不在票を切る時間がおしい
❸ 再度回るつもりだから後で入れようとしている
❹ 都合の悪い時間帯に再配達を頼まれると業務に支障が出る
❺ 再配予約によってルートが乱れ、無駄が生じる
❻ 夜配が増えて夜が忙しくなる
❼ 再配メールを逐一確認するのが煩わしい


一宅配業者の意見として、そもそも不在票を沢山切る配達員はハッキリ言って無能なんです。

なぜなら、お客さんの在宅時間を把握できていれば、不在票を切る必要すらないからです。

○○さんは夜勤だから、16時頃がベスト
△△さんは共働きで不在がちだけど、夕方ごろにお子さんが帰ってくる
■■さんは朝の病院とゲートボール以外の時は大体いる


…など、その家庭のことを日々リサーチしていれば、まず「誰もいない時間帯」に行こうなど考えなくなります。

優秀な配達員であればあるほど、ストーカーのように各家庭の在宅時間を把握しています。

再配達は赤字【不在=赤字】

宅配業者の多くは個数単価制「1個○○円」という形で働く個人事業主です。


お客さんに荷物を届けてはじめて、その成果報酬が得られます。

不在だったりしてお客さんに荷物を渡せなければ、その配達労力・時間、ガソリン代が全て無駄になります、当然自腹を切って走っています。

委託ドライバーにとって不在とは、「赤字」そのものなので、不在票を切るという事が僕らにとってどういうことかは安易に想像できると思います。



宅配業者は1日に100個以上の荷物を配っています。

それを円滑にこなしていくには、最低でも「1時間に20件」回れる実力が必要です。


1件にかけれる時間はたった「3分」、そんな状況下で、一発で荷物を落とせず代わりに不在票を残していく。

その不在票を見たお客さんが再配依頼をするために電話をかける、その対応に時間をとられ、後に一度通ったルートに立ち戻ってまた配達を行う。

固定給ならサービスの一環として許容できますが、実費で配達をしている僕らとしてはこの手間と燃料費をなんとかしたいものです。

クロ

再配達は大手運送会社が提供している無料サービスとはいえ、実質負担をするのは現場の委託ドライバー





少しリアルな話をしましょう!!


個数単価150円だとして、1発で落とせば1配達に対して150円の収入です。

しかし、2度行くことになると2配達に対して150円、1配達75円の計算になります。

荷物を落とせなくても落とせても、1配達当たりのコストはかかります、だから無駄打ちしすぎるとガソリン代に売上を食いつぶされます…笑

エリアによって訪問可能件数は異なる



僕ら業者の理想は、「全ての荷物を1発で落とすこと」です!!



エリアによってかけられる工数というのは決まっています、一件当たりの所要時間がかかればかかるほど、回れる件数は減るんです。

マンションばかりだと入館作業、オートロック対応、宅配ボックス対応、エレベーター待ちで時間が取られます。
広域で配達を行っていると、一軒あたりが遠く、それ相応時間がかかります。

時間指定、電話対応、再配達に追われながらも、「3分に一件」を掲げて現場を回しています。


この状況下から訪問可能件数が見えてきます。

訪問可能件数

・1日で最大何回、お客さんに訪問できるのかをあらわしたもの

(例)300件/日と200件/日のエリアで、共に荷量が150個だとします。

300 ー 150 = 150
200 ー 150 = 50

前者は150回まわっても、更に150回訪問できる余力があります。
後者は150回まわって、余力が50回しかありません、再配達が50回を超えてくるとパンクします。




そもそも地域によって配達可能件数が違うんです。


つまり、僕らにとっての作業効率というのは、1件当たりの所要時間を短くすることもそうですが、何よりどれだけ工数を減らせるかなんです。


「落ちる場所に落ちる荷物を持っていく」


宅配はそれ以上でもそれ以下でもありません。

不在票を入れない配達員というのは、「配達効率を高めるためあえて入れないようにしている」場合が多いです。

また、この仕事は一度に沢山配るから売上が立つ職種ですので、1件の為に車を走らせるのは非効率と考えている配達員も多いです。


最も在宅率が高まる夜間に再訪問し、居ればお渡しし、居なければ不在を切って翌配達に回す、そうすることで再配による時間浪費を最小限に抑えている方も多いでしょう。

クロ

優秀なドライバーは不在票を10枚以下に抑えるよ



全部の家をルートに沿って回ろうとなんてしません、居る確率が高いお家を優先的に回り、確率が低い家は夜間に回しています。


あわよくばという気持ちでインターフォンを慣らしてみることもあるでしょう、不在票を入れない場合というのは、この工程に多く、そういう場合は再訪問するはずです。

大手運送会社では未配を出すと評価が下がります、不在票を入れず「不在」を打つとクレームが来ます、一定期間内にマナークレームを2,3数回もらうと近々首が飛ぶので、どこかしらのタイミングで不在票はいれていくはず、入れないのは論外と思ってもらって構いません。

配達員が絶対に不在票を入れていくお家というのは、「昼夜問わず不在率が高い家庭」と「時間指定」のみだと思っていた方がいいかもしれませんね。

クロ

ちなみに、配達員は一般的に朝7時~夜10まで週6で働いている、朝・昼2度の積込みがあり、営業所に戻って積込みを行い、仕分けができていないと待ち時間が発生し配達時間を圧迫する、午前・14~16指定で届かないのはその影響が色濃く出ている場合なのかも…

再配達料があれば不在票は入れられる、でも、払いたくない運送会社


録画機能付きインターフォンがどこの家庭にも設置されるようになった今、僕ら宅配業者が不在票をいれていないことはお客さんに筒抜けです。

以前に比べ、「不在票を入れない」とクレームを受ける配達員も増えたことでしょう。

クロ

でも、今一度考えてみてほしい…




なぜその荷物が既定の配送料になっていて、なぜ日時指定があるのかということを…


ドライバーの仕事は決められた時間枠の中で荷物を届けることであり、時間指定をされていない荷物は「当日中ならいつでも構わない」という意志のあらわれです。

それが嫌な人のために「時間指定」は存在していて、2時間枠の間は在宅を約束していただく代わりに指定時間に優先してお届けする、そのような二者択一の決め事になっているはずです。


大手運送会社では「不在票を必ず入れなさい」という指示は出していません、現場が回らなくなるのが分かっているからです。



宅配は一発で落としてなんぼの仕事ですから、僕らとしては時間指定をしていただいて100%落ちる状態にしていただくのが最も有難いです。

ですが、時間指定は全体約2~3割程度、残りの荷物は「指定なし」の1日の中でいつ行ってもいい代わりに無駄打ち終わる可能性が高いものですし、時間指定を守っていただけないお客さんも結構な数いらっしゃいます。

そのエリアに慣れたドライバーなら在宅状況が把握できているので問題ありませんが、不慣れなドライバーは不在票を切らず数回って落としていかないと回しきれない人もいるでしょう、それに持ち戻りも問題もあります。


持ち戻り

当日に配達できなかった荷物は一度センターに持ち戻り保管、翌日持ち出します。再配達依頼によって明確に配送日時が決まっていればその日に持ち出せばいいのですが、そうでない場合は基本荷台に積みます。荷物を持ち帰りすぎると翌日配達分に加算されることになるので、結局は夜まで粘って落としていかないと日々の業務が回っていかない現実もあります。



不在票を巡るトラブルの原因は、配達員と受取人のそれぞれに対する配慮不足以上に、現行の「再配達」というシステムに問題があるように思います。

「時間指定なし」のような初回配達が無駄打ちで終わり「再配依頼」を助長させるシステム、こんなものに付き合って不在票を入れまくってしまえば、電話の嵐、仕事になりません。


配完率90%を求められては不在票をいれるにしろいれないにしろ結局は落ちるまで再訪問しなくてはいけない、だったら不在票を入れることで発生する手間と影響を考えると、「入れない判断」をするのは当然です。

そもそも、再配達とは再仕事なんです、一個当たりの単価が再配達料込の高単価に設定されているなら文句など出ません、赤字仕事として強制されるから、このような対応となるんです。
そんなシステムを強制するから、現場を回していくために不在票を切らない判断をする、置き配もそう、これも再配達予防措置の一環、でも、この置き配もやるなと言われる(現場でもふつうに行われているが、会社としては禁止しているところが多い)

不在票を入れたくないからというより、入れることによって仕事が回らなくなる、または食っていけなくなるから入れれないというほうが正確かもしれません…

【結論】不在票を巡るトラブルは起きるべくして起きている



大手運送会社では社員の労働環境健全化に力を入れています、宅配は朝から晩まで長時間労働をしなければなりません。

こんなものを時給制でやっていては利益が残らないず、監督署から残業時間について口うるさく言われます、だから「業務委託」という労働基準法に守られない個人事業主を募って現場を回しています。

再配達はサービスの一環としておこなっているようでも、実際そのサービスを赤字提供しているのは個人ドライバーであったりします、ある会社では、基本、社員は不在に縁のない企業配に専念させ、宅配は業務委託に任せ、再配達のコストを最大限減らしたりしています。

お客さん自身も、一回目の配送で不在票を入れてもらい、それを見て、時間指定を電話にて行う、こちらに配慮して在宅するではなく、遊びにいって、帰ってきたから

『いまからもってきてくれますか?』

3分、または2分に1個配る傍ら、何十人のお客さんに対して、ドライバーはこれをやっています。
その中には時間指定もあって、本当に1分1秒を逆算しながら、日々の業務を行っているんです。

ドライバーもドライバーで、このような環境にいることで、自らこの状況を受け入れている。
変わることを避け、未来を考えることを放棄し、現状維持で不満を抱きながら働く、
事故ったら終わり、台風出勤、大雪出勤なんか本当にいつ死んでもおかしくない、高齢になれば今のように働けないと分かっていてもです…

不満があるなら別運送会社で働けばいい、もしくは職種を変えればいい、運送会社もお客さんもドライバーも他責、大きな問題が起きる時というのは、他責と他責がぶつかり合った時です。


以上の背景から、不在票を巡るトラブルは起きるべくして起きている問題のように思います。

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この記事を書いた人

「黒の日生まれ」の元イクラちゃん。ブラック設計会社でハイハイしてましたがコロナを機に転職、現在は自営で運送してます。現場で働くドライバーの一人として、会社より個人を応援したい、仕事振る方が言えない現場のリアルをお届けします!!

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