軽貨物はやってはいけない⁈現役ドライバーがその理由を解説!!

こんちわ、クロです🐈
軽貨物運送業をはじめて約3年、現役ドライバーとして稼働しております。

『軽貨物はやっていけない』『軽貨物はやめとけ』

よく言われてますが、結論から…

軽貨物はやっていけないことはないが、やめといた方がいい。

軽貨物に新規参入したい方は以下の項目しっかり熟考した上で、やるかやらないか判断した方が良いと思います…

・個人事業主として働くということがどういうことか
・月収と利益は全くの別物であるということ
・週6長時間勤務、人生をかけてやる仕事なのかということ

目次

個人事業主として働くということ

仕事を教えてもらえるわけではない

軽貨物は業務委託契約がメインとなります、個人事業主、一人親方です。
社員やアルバイトみたいに時給分働いたらお金が貰える訳ではありません、成果報酬型でやった仕事分しかお金はいただけません…

『誰かに仕事を教えてもらおう』

なんて考えは甘い、社員じゃない、上司がいるわけでも部下として接してもらえるわけでもないですからね。


だから、大した説明もなく、現場にぶち込まれる、よくあることです。
なぜなら、社員ではなく、外部だから…


そんな状況でも、ちゃんと他責ではなく『自責』でいられますか?
この状況は自ら作り出したもので、これを打破するために「自ら状況を変えていこう」と捉えられますか?

業務委託だから高報酬というわけではない

多くの方は業務委託は高報酬だと考えています、でも実態はそんなこともない。
社会全体が正社員を減らし、業務委託を増やす方向性で進んでいます、それはなぜか?

業務委託の方が安いからです

後述しますが、例えば月収60万円稼いだとして、手元に何円残るか想像できないと思います。
会社員というのは額面で貰っている金額だけが会社負担額ではありません、その人には総支給額の1,5~2倍のお金がかかっていると言われています。

運送業の場合、車両、燃料費、保険、メンテナンス費、事務作業費等、1人を稼働させるのに様々な経費が必要になっています、これを自身で揃えて営業すると考えてみてください。

社員を難しいエリアに配属すると文句が出ます、委託なら外部なので関係ありません、難しいからといって高単価にする必要もありません、お互いの合意さえあれば、それなりの単価で何とか出来てしまいます。

新規参入した直後から、交渉力を発揮できると思いますか?

確定申告、日々の帳簿付け、安全管理者業務、自ら行う

毎日、毎月、毎年、どれだけの売上をあげ、どのくらい経費がかかり、いくらの利益が出たかを帳簿に記載しなければなりません。
そして、2月の中旬には、確定申告をし、所得税や消費税を支払います。

この時に算出された課税所得をもとに、国民年金、市県民税、国民健康保険、予定納税額の有無などが決定し、払っていくことになります。

いままで会社が勝手にやっていてくれていたことは、自分でやるようになります。

2025年4月より、軽貨物では安全管理者選任が義務化されます。
個人の場合、選任する人なんて自分しかいませんね、貨物自動車安全管理者講習を自ら受講し、日々のメンテナンスを自ら行うこととなります。

これらの仕事は1円にもなりません、いままで1円にもならない仕事は会社がやってくれていました。

月収と利益は全くの別物であるということ

「月収60万円も可」という求人、実際どれくらいの利益が出るのか?

求人が示す『月収60万円』とは、売上のことです。
おそらく週6稼働、月27日稼働で、60万円を達成するには1日あたり『22223円』稼がないといけません。

エリアにもよりますが、月々の経費は以下の通り。

〇 ガソリン代             【¥40000~70000】
〇 メンテナンス費           【¥8000】
〇 保険関係              【¥14000】 
〇 リース代              【¥30000】
〇 ロイヤリティ(10~15%)     【¥60000~90000】 
〇 ゼンリン地図            【¥1800】
〇 会計ソフト             【¥2000】     
                                トータル 17万円前後

60万円稼いでも15~20万は経費にもっていかれて、利益は40~45万程度になります。
そこから、次に、消費税を支払います。

消費税の支払い

消費税とは、商品販売やサービス提供などの取引に対して課される租税です。
軽貨物ドライバーとして働く場合、これから先はインボイスを取得しないと仕事をもらうことが難しくなるため、まずはその申請をしないといけません。

僕ら運送屋は、荷物に消費税10%を上乗せした単価を用意してもらい、1日の売上をあげます。
荷物1つ1つに消費税が上乗せされている、それを1年間受取続けます、これは一時期に預かっているにすぎず、確定申告の際に国に納めなければなりません。

売上に関係する消費税=『預かった消費税』

次に、営業するために必要なもの(ガソリンやスタッドレスタイヤ、オイル、車両等)
それらに10%の消費税を支払います。

経費に関係する消費税=『支払った消費税』



納税する消費税とは、以下の計算で算出されます。

『納税する消費税』 = 『預かった消費税』ー 『支払った消費税』


令和8年9月30日までは『2割特例』が適応されているので、本来ならば上記の計算式より算出される所、もしくは簡易課税制度を利用するんですが、現在は、売上にかかる消費税の2割負担で済む措置が適応できます。


【一例】 軽貨物ドライバーAさんは月収60万円で1年間働きました、年商720万円、経費は300万円かかり、利益を420万円残しました。消費税が10%なので

本来の納税額   ¥720000 ー ¥300000 = ¥420000(単純計算)
2割特例     ¥720000 × 0、2     = ¥144000


2割特例期間だと月々の消費税支払いは¥12000です。

所得税の支払い

所得税は以下の計算式から算出されます。

所得税 = 課税所得 × 所得税率 ー 控除額

益金から損金を引いたものが所得、所得から所得控除(社会保険控除や基礎控除等)を引いたものが課税所得です。


所得税には所得税率というものがあり、課税所得に対して以下の割合が適応されます。

税金・社会保障教育 https://www.mmea.biz/2940/

720万の売上、利益420万円のAさんを例にしましょう。
Aさんは所得控除が150万だとします、となると課税所得は270万です、上の表で当てはめると195~330万の枠に収まるので、税率10%、控除額¥97500となります。

復興特別所得税が加算されるので、基準所得税額×2.1%が適応されると…

¥2700000 × 10% ー97500 = ¥172500
¥172500 × 2、1% = ¥176122


1000円未満の端数は切り捨てされるので、¥176000
月々の支払いは平均で¥14666の支払いとなります。

納めるべき所得税が15万円を超える事業者は『予定納税』の対象となります。
翌年の所得税を前払する制度で、事前に2期分を支払い、残りを確定申告で納税します。

第1期 7月1日~9月30日
第2期 11月1日~12月2日

思わぬ出費となってしまうので、計画的に納付しましょう。
また、税額控除という制度もあるので併せてご検討ください。

社会保険、住民税の支払い

住民税は地域によって異なるので、今回は弥生会計さんの『かんたん税金計算シミュレーション』を課税所得270万円で利用させていただきました(https://www.yayoi-kk.co.jp/shinko・ku/oyakudachi/simulation/)

住民税        ¥280000 (23333/月)
国民健康保険     ¥451000 (37583/月)
国民年金       ¥203760 (16980/月)

住民税【計4回】      6月、8月、10月、翌1月
国民健康保険【計10回】  6月~翌3月
国民年金【計12回】    毎月


住民税は計4回、国民健康保険は計10回、1月当たりの金額が大きくなります、予定納税も重なると資金繰りがシビアになるので計画的に納付してください。

月収60万円の手取りはいくら⁈


月収60万円稼ぐ軽貨物ドライバーの利益は40~45万円、大まかな計算ではありますが、そこから色々引かれます。

消費税      ¥12000 (2割特例期間内)
所得税      ¥14666 
住民税      ¥23333
国民健康保険   ¥37583
国民年金     ¥16980              トータル ¥104562


月収60万円稼いでも、手取りは29~35万円くらいにしかなりません。
宅配だと、週6で『14時間/日』ぐらい働きます、これをどうみますか?

軽貨物は人生をかけてやる仕事なのか⁈



時間は命そのもの、それをこのような形で奉仕して満足でしょうか?

お金を稼ぐには、より多くの人に、より多くの価値を届けていかなければいけません。
または自身が与えられる価値の質を引き上げていかなければいけません。
最大限配れても1日300個、300人にしか価値を届けれない仕事なんです。

勿論、軽貨物の良さもあります、これだけお客さんから『ありがとう』をいただける仕事なんて早々ありません。
日々、お客さんの役に立っている実感もあります、でも、台風出勤や大雪出勤、そんな日に働くと、嫌でも思い知ります。

会社もお客さんもドライバーのことなど考えてはいない…

悪天候の日ほど、前日に注文が増えます。
台風の日にピザをバイクで運ぶ配達員、ふつうに死にますよ。
それでも頼む、会社もそれでも行かせる。

僕らも台風・大雪の日に運びます、でも、そういう日に限って、社員は走らない、バイトは休み、走るのは外部の業務委託だけです。
事故のリスク、遅配のリスク、それらを考慮して、出荷上限を設けてなるべく外部だけ回せるように配車し、責任問題、事故による金銭負担を全力で回避します。

人間でなくてもいい仕事です、僕らが命懸けで与えている価値は想うほどに小さいんです、貴方じゃなくてもいい仕事なんです。

仕事なんで好き嫌いは関係ない、適性があって良いサービスを提供できれば、それだけ世の中に価値提供できる。
事業はボランティアではなく、利潤追求するもの、それが稼ぐということ。

でも、貴方の人生なのに、人生の大半を費やす仕事なのに、貴方じゃなくてもいいんですよ…

人生をかけてやる仕事なのでしょうか?
副業でいいんじゃないでしょうか?
努力ではなく夢中なれる仕事があります、必ずしも軽貨物である必要はないような気がしますよ。

身体をなまけさせないため、生活費補填のため、週2程度の働き方が望ましいように感じます。

※ それでも挑戦したい方、『月収60万円』稼ぐ軽貨物ドライバーの仕事について解説です!!

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この記事を書いた人

「黒の日生まれ」の元イクラちゃん。ブラック設計会社でハイハイしてましたがコロナを機に転職、現在は自営で運送してます。現場で働くドライバーの一人として、会社より個人を応援したい、仕事振る方が言えない現場のリアルをお届けします!!

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